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東京高等裁判所 昭和35年(行ナ)81号 判決

一 請求原因第一および第三項の事実は当事者間に争がなく、同第二項の事実は成立に争のない甲第一号証によつて明らかである。

二 証人藤田静夫の証言により被告主張のとおりの写真であることの認められる乙第一号証の一ないし三、成立について争のない乙第二号証の一、二、前示甲第一号証および証人浜口善造、同藤田静夫、同中尾房太郎、同福田進、同川崎清弘の各証言、被告会社代表者浜口吉平尋問の結果ならびに弁論の全趣旨を総合して考えると、被告会社は、本件登録実用新案の出願前である昭和二五年九月頃被告会社の大阪字西淀川区大和田町所在の工場において、減圧タンクと減圧ポンプとを先端にこし網を設けた連通管で連通し、減圧タンクの周側に吸引口を設け、その吸引口に吸引ノズルの連通可撓管を連結し、なお、右減圧タンクの下側に排液用の開閉蓋を設けて成るドラム罐等の容液の吸上げ装置を製作し、同工場でこれを公然用いていたこと、そして、その作用効果は、減圧ポンプを作動して減圧タンク内を減圧し、吸引ノズルの吸引口をドラム罐等の小口径容器の底部に挿入し、減圧タンクと外部との圧力差を利用して、ドラム罐等における残液を減圧タンク内に吸い込み、吸引された残液は減圧タンク内に自重で落下してたまるから、簡単かつ安全にドラム罐等の小口径容器内の残液を吸い上げ、さらに、水等を容器内に注入して攪拌洗滌して清浄にすることができるとともに、減圧タンクにたまつた排液は適宜減圧タンク内を常圧に復して排液口を開いて排出しえられ、また、減圧ポンプの吸引力に引かれた微細なごみはフイルターないしこし網でこされ減圧ポンプ側に吸い込まれることが防止できる等、すべての点において、本件登録実用新案と同様であることが認められる。

右の事実によれば、本件登録実用新案は、その出願前すでに国内において公然用いられていた前示被告会社の吸上げ装置とその要旨構造において類似するものと認められ、かつ、その作用効果を同じくするものであることが明らかである。

証人原田行由、同春木和栄の各証言および原告本人尋問の結果とこれにより真正な成立の認められる甲第八号証の一、二中右認定に反する部分は、証人中尾房太郎、同浜田善造、同福田進の各証言、被告会社代表者浜口吉平尋問の結果および弁論の全趣旨に徴してにわかに措信できず、また、甲第七号証については、これが真正に成立したものとする部分の原告本人尋問の結果はにわかに措信し難く、かえつて、同号証の形式および証人浜口善造、同中尾房太郎の各証言、前示措信しない部分を除く証人春木和栄の証言ならびに弁論の全趣旨によれば、いまだその成立するにいたつていないことがうかがわれる。他に、被告会社の前示吸上げ装置が本件登録実用新案出願後これをまねて製作されたものであり事実がしいられているとする原告の主張事実は、これを認めしめるに足りる証拠がない。

三 右のとおりである以上、本件登録実用新案がその出願前国内において公然用いられていたものと類似し旧実用新案法第三条第一号の規定に該当し同法第一条の登録要件を具備しないからその登録を無効とすべきものとした本件審決は、相当であり、その取消を求める原告の本訴請求は、理由がない。

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